私が住まいと食料の自給自足を目指す理由

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先日、日本アースバック協会が行うクラウドファンディングに拠出しました。私は近い将来、セルフビルドで住宅を建築する予定があります。セルフビルドをする上での代表的な住宅建築工法には、木造軸組み工法や2×4工法があります。確かに、こうした工法でも一般的な居住空間を作る事ができます。

ただ、せっかくセルフビルドするのなら、とびきりステキでオシャレでカッコイイ建築物を作りたい。ありきたりの仕上がりでは面白くない。できるだけお金をかけずに楽しみながら作りたい。という想いや考えがありました。

このような想いや考えを持つようになったのは、20年程前に訪ねたシャロムヒュッテというペンションで、オーナーの臼井さんとその仲間がセルフビルドした建築物の数々に触れ、強烈な刺激を受けたことがきっかけです。以前のブログ記事で「地球生活記」という書籍をご紹介しました。この書籍に掲載された建築物は、どれも日本にはない魅力に溢れています。村の住人で協力して建築した住宅も多く、「住宅」の常識がガラガラと音を立てて崩れていくのが分かります。私が小学生の頃は、森で秘密基地作りをするのが大好きでした。その延長線上にあるような住宅が、世界には本当にあります。読んでいてとてもワクワクしてきます。

日本の住宅政策が国民を不幸にしている

日本では、建築物を建てる際は都市計画法や建築基準法の2つの法律に則って「建築確認申請」という行政手続きを行う必要があり、たとえ自分の土地であったとしても自由に建築物を建てる事ができない地域が大半です。確認申請が不要な地域もありますが、こうした場所は人里離れた不便なところですし、「工事届」を提出して建築を行う必要もあります。このように、法律に則って建築せずに、自然素材いっぱいの安全安心な住宅を作ったとしても「違法建築物」として扱われてしまいます。

このため、「地球生活記」で見たような建築物をそのまま国内で建てることは難しいというのが現実です。国内の住宅が画一的で魅力に欠ける理由の一つは、こうした法規制によるものです。

しかし悪いことに、法律で規制された建築物であるにもかかわらず、日本の住宅の平均寿命は先進国の中でも群を抜いて短いという現実があります。

  • イギリス 140年
  • アメリカ 103年
  • フランス  86年
  • 日本    26年

一方で先進国以外に目を向けると、村人が協力して石や土、草木などの現地にある自然素材を使って住宅を建てる地域もあります。こうした地域では、たとえ住宅の寿命が短かったとしても、自らの手で作り直すことができますし、お金もほとんどかけずに住まいを確保できています。

しかし日本では多くの人が35年のローンを組んで住宅を購入するのですから、生活が苦しくなるのは当たり前です。住宅の平均寿命は26年ですから、住宅ローンの支払いを終える前に寿命を迎える計算です。ですから建築から20年もすればリフォームするようなことも当たり前に行われています。場合によっては、新たにリフォームローンを組む人もいるでしょう。

一方で我が国には、100年以上前に建築された歴史ある古民家も存在しています。自然素材しか使っていない田舎の藁ぶき屋根の家がそうです。世界最古の法隆寺という木造建築物もあります。これらはどれも質の高い建築物ですが、現代の法律の下では建築できない違法建築物に該当します。もし今、法隆寺が火災などで消失してしまったら、中身は鉄骨鉄筋コンクリート製で、外見だけ法隆寺に似せた建築物を再建することになります。

住宅の質が低いことによる大きな問題は、住宅ローンや寿命の短さだけではありません。もっと大きな問題があります。それは、現代住宅の多くはビニル製の内装仕上げ材や接着剤を多用した新建材で囲まれており、人体にとって有害なガスが室内へと放出され続けているという点です。アトピー性皮膚炎やアレルギー疾患の要因の1つに、住空間で暴露する化学物質の量と時間の長さが関係しているようです。

住宅ローンの返済で家計が苦しくなる上に、健康まで悪くしてしまうという住宅にまつわる問題点は、多くの国民を不幸にしています。あまりにもコスパの悪すぎる買い物です。そして住宅の確保における、もう一つの選択肢となる賃貸住宅はというと、質が高くコスパの良い物件が少ないのが現状です。つまり多くの国民はコスパの悪い住宅を買うか、コスパの悪い賃貸住宅を借りるかの二択を迫られているために、不健康で家計も苦しい状態に陥っているのです。

住宅は経済波及効果が高く、頻繁に建て替えをした方が関連する業界の安定的な利益につながるという側面があります。ですから住宅政策は政治上の重大関心事の一つです。また、我が国は地震大国でもあるため、建築物の強度の確保が必要であるという側面もあります。

国民の幸せを考えるなら、長持ちする健康的な住宅に少ない維持費で住めるようにすることを優先すべきですが、現状はそのようになってはいません。このからくりに気付いている国民はそう多くはないでしょう。さらに、このからくりから抜け出そうと行動している国民はあまりいないでしょう。

国民の幸福度を上げる秘策はここにあり

では、こうした問題点を解決する方法はあるのか。私はあると考えています。その1つが、住宅を仲間とともにセルフビルドするという方法です。人口の多い都市部では関係法令の規制で難しいかもしれませんが、人気のあまりない田舎であればハードルは下がります。もう1つの方法は、古民家のような質の高い住宅を購入してセルフリフォームして住むというやり方です。さらにもう一つ付け加えるならば、都会のマンション暮らしであっても、内装仕上げ材を自然素材中心の物にリフォームすることで、健康を損なうリスクは低減できるかもしれません。

でも、いきなりセルフビルドと言われてもハードルが高すぎて、結局なにも身動きがとれなくなってしまいますよね。特に問題になるのが、どの方法を選択するにしても、それなりにDIY能力が必要になってくるという点です。多くの国民は「自分でつくる」という事に慣れておらず、たいていのものはお金で買う事で代替しています。

何をするにしてもお金が必要なわけですから、より多くのお金を得ることが生活の安心につながるという志向になりがちです。すると、より稼ぐために様々な努力をするようになり、お金を生むことに直結しないDIYのような活動は時間の無駄であると感じるようになります。

しかし安心を得る一番の材料は、無一文でも自分で生きていけるという確信を持つ事です。衣食住が確保でき、家族や信頼のおける仲間と健康的な生活を自ら創り出せるという確信です。これを実現するためには、生活の中の自給自足率を徐々に高めていくことが重要です。どんなに些細なことでも構いません。3食のうち1食は自分でつくってみるとか、ペットボトルのお茶を減らして自分で淹れてみるとか、できるところから、生活を自分の手に取り戻していく事から始めていくと、取り組みのハードルを下げることができます。

そうして徐々に自分でできる事のレベルを上げていくと、そのうちに「住まいと食料の確保も自分達でできるんじゃない?」という感覚になってきます。ここでのポイントは、自分で全ての事ができなければならないということではないという点です。気の置ける仲間や友人と、物々交換のように得意なことを交換すればよいのです。

お金を稼ぐことが上手な人は、それなりに安心できる住まいと食料を確保できるかもしれませんが、それでも住まいと食料を自分達でつくれる人の安心にはかないません。それは、GDPが極めて低い国であっても、住まいと食料を自給自足して豊かなに暮らしている人々が世界中にいることが物語っています。

日本は世界で3番目に高いGDPを誇っていますから、自分でつくることをあまりしない国民が多いということもうなずけます。なんでもお金を媒介して他人に任せることで経済をまわしているわけですから、当然にそうなります。一般的にGDPの高さは、世界に誇れるものとされています。ですが、GDPの高さが国民の幸せに直結していないのが現状です。日本はあらゆるインフラが整った豊かな国であるにもかかわらず、体制移行中の途上国並みに自殺率が高いく、先進国では韓国に次ぐ自殺率の高さです。幸福度も低いという統計もあります。なぜ、こんなことになってしまったのでしょうか。

皆稼ぐのに必死で、時間に余裕がありません。子供には、将来稼げる大人になるようにと様々な「教育」が施され、子供の自由な遊びの時間は、やりたくもない活動のために奪われています。さらに悪いことに、皆必死に稼いでいるにも関わらず、労働者への報酬の還元率は下がり、ついには経済的にも苦しい状態に陥っています。時間に余裕もなければお金の余裕もない。だから夫婦共働き世帯が増加しているのです。生活を維持するために。夫婦ともに家庭を離れ、お金を稼ぐために働き、子供は夜遅くまで他所(保育所)に預ける。将来に悲観的な見方の国民が増え、生涯未婚率も過去最高を更新している。人口が減少するのも当然の帰結といえます。多くの国民は、何のために生きているのか、子育てをしているのかということを見失っている状態です。

こうした悪循環から抜け出すためにも、自分でつくるということを習慣づけ、人生の主導権を自らに取り戻していくことが、諸問題の解決につながると考えています。そして、自給自足的な暮らしを仲間と共に行う生活スタイルにシフトすることで、より幸福度の高い暮らしを実現できるでしょう。

私はこのような考えから、住まいと食料の自給自足を目指して行動しています。

今日もありがとうございました。

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エンライトは、似たような価値観を持つ仲間と共に、新しい暮らしの形を作ることを目指しています。それは、日々の暮らしが遊びであり、学びであり、働くことでもある、「遊暮働学」というライフスタイルです。

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この記事を書いた人

千葉県我孫子市出身/二児の父/人生の経営者として生きる40代パパ/手作り生活研究家/里山料理研究家/halu農法・創命農法実践家/薪割りマスター/薪ストーブ活用アドバイザー/住宅断熱アドバイザー/自然エネルギー活用コンシェルジュ/ブログ「縄文生活」運営/電気工事士/ワークショップ講師/
20歳の時にペンション・シャロムヒュッテの臼井さんとの出会いに衝撃を受け、何でも作ることのできる人になることを意識するようになる。3回の転職と日常生活での実践を経て、電気・建築・木工・溶接・配管、金属加工・陶芸・農・野草採取・料理・ワークショップ講師など、生活全般を自給自足できる技能を習得。想像し、アイデアを形にすることが得意。
コロナ禍と友人の死をきっかけに、「人生を主体的にデザインする生き方」、「そこそこの人生から最高の人生へ変化する」ことを強く意識するようになる。
現在の目標はセルフビルドで自宅を建築すること。理想は、誰もが自らの能力を活かし、家族や仲間と共に愉しく暮らせるコミュニティーで生活すること。縄文時代の英知に現代のテクノロジーを融合させたライフスタイルを日本の文化にすることを目指す。

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